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2026.03.09

後遺障害等級の異議申立てとは?等級認定を覆す方法と流れ

交通事故でけがを負い、治療を続けても症状が完全に回復しない場合には、「後遺障害等級」の認定を受けることにより、後遺障害慰謝料や逸失利益などの賠償を請求することができます。もっとも、申請方法や手続の進め方を誤ると、本来認められるべき等級が認定されないことも少なくありません。
このコラムでは、後遺障害の申請から、認定結果に不服がある場合の異議申立て、さらにその後の対応までの流れを解説します。

後遺障害等級申請の流れ

症状固定

後遺障害等級を申請するタイミングは、治療を継続してもそれ以上効果が見込まなくなった時点(症状固定時)に行います。

症状固定がいつになるかは、傷病の内容や程度に応じて決まります。

むち打ちは事故後6か月、骨折は事故後6か月~1年が目安となります。

症状固定時がいつになるかは、基本的には主治医が判断しますので、治療後に一定期間がたった場合に、主治医と症状固定時期について相談してください。

なお、相手方保険会社から「そろそろ症状固定では?」と症状固定を催促され、治療を打ち切られることもありますが、治療途中であればこれに応じる必要はありません。治療途中で症状固定にすると、本来認定されるべき後遺障害が認定されないことにもなりかねません。もし、不当な打ち切りと思われる場合には、弁護士に治療打切りの延長交渉を依頼してください。

後遺障害診断書の作成

症状固定となったら、主治医に後遺障害診断書を作成してもらいます。一般的に、後遺障害等級申請は、加害者側の自賠責保険に申請するので、自賠責用の後遺障害診断書の書式を主治医に提出して記載してもらいます。

後遺障害診断書の作成ポイントは次の通りです。

「傷病名」欄

 自賠責は、後遺障害診断書記載の傷病名のみについてしか後遺障害等級の認定を行いません。例えば、いくつか医療機関を転院している場合には、以前の医療機関で受けた診断名が記載されているか確認してください。

「自覚症状」欄

自覚症状も「自覚症状」欄に記載されていなければ、その症状を後遺障害と認定してくれません。そのため、自覚症状はもれなく伝える必要があります。被害者が後遺障害診断書の内容に主体的に関われるところですので、症状固定時の診察の際には、そのときの自覚症状を十分に主治医に伝えて、記載してもらってください。

「各部位の後遺障害の内容」欄

後遺障害の認定を左右する重要な記載欄です。

この欄には、主治医に他覚的所見(医師が診察や検査結果により客観的に確認できる身体の異常や症状)を記載してもらいます。

たとえば、むち打ち症の場合には、診察時における圧痛部位、しびれ・知覚異常の部位、可動域などについて記載してもらいます。またMRI、CTなどの画像検査、スパーリングテスト、ジャクソンテスト、深部腱反射検査などの神経学的検査の結果も記載してもらいます。

これらの診察時の所見や検査結果に漏れがあったり、実際と異なる内容があれば、主治医に追記・修正を依頼してください。

なお、後遺障害等級に応じて重要とされる検査があります。これらの検査漏れがないように、事故当初より交通事故に詳しい弁護士に依頼しておくべきでしょう。

自賠責への後遺障害等級の申請

申請方法

一般的に、後遺障害等級の認定は、相手方の加入している自賠責保険に対して申請します。

この申請方法は次の2つに分かれます。

  • 事前認定
    加害者側保険会社が、自賠責に後遺障害等級申請を行う手続き
  • 被害者請求
    被害者またはその代理人弁護士が、自賠責に後遺障害等級申請を行う手続き

事前認定は、被害者側の手続的負担が小さい反面、自賠責保険会社に提出する資料を被害者で把握できないというデメリットがあります。そのため、当事務所では、基本的に被害者請求を行っています。

なお、醜状痕などの後遺障害の場合には、申請後に後遺障害等級の認定業務を担当している自賠責調査事務所に出向き、面会調査を受けることがあります。実際に調査担当者に醜状痕を測定してもらいますが、測定方法に疑問を感じた場合にすぐに異議を出せるよう、代理人弁護士に同行を依頼すべきでしょう。

結果通知

被害者請求の場合、後遺障害等級の申請から1~3か月程度で、自賠責保険会社から、認定結果通知書と等級認定票が届きます。等級認定票には、判断に至った理由が記載されています。認定されていれば支給される自賠責保険の金額も記載されます。

納得できる後遺障害等級が認定されれば、これを前提として示談交渉を始めます。

他方で、後遺障害が非該当とされたり、認定された等級に不満があれば、次のとおり、自賠責異議申立て、自賠責紛争処理機構への調停申立て、訴訟などの手続きを通じて、後遺障害等級を争うことになります。

自賠責への異議申立て

異議申立てをする際は、認定結果を分析したうえで、認定を覆すに足りる新たな資料を提出することが不可欠です。

1.事案整理表の取得と等級認定票の分析

まず、等級認定を行った自賠責保険会社から事案整理表を取得します。事案整理表には、等級認定の判断根拠となった情報が整理されています。

この事案整理表と等級認定票を確認し、医学的にどの所見が不足していると判断されたのかを把握したうえで、異議申立てに向けた対応方針を検討します。

2.カルテなどの医療記録の取得

最初の後遺障害等級申請では、後遺障害診断書、診断書、レセプト等の資料しか提出しないのが通常です。ただ、これだけでは各診察日においてどのような症状があったのか、症状の経過がどのように推移したか明らかになりません。

そこで、受診先のすべての医療機関からカルテ、看護記録、検査記録、手術記録を取得して、それぞれの診療日の主訴・治療内容や、症状の推移などを詳細に分析します。

3.医師意見書・セカンドオピニオン

弁護士は法律の専門家であっても、医学の専門家でないので、適切な医学的判断が必要となる後遺障害が異議申立てにおいては、専門家の知見を取得することが不可欠だと考えております。

そこで、当事務所では、医療記録をそろえた段階で、主治医やセカンドオピニオンとなる医師に照会して、適切な後遺障害等級を取得するにあたって不足する検査はないか、補足すべき医学的所見はないかを確認しています。

医師の意見を踏まえ、必要な追加検査があれば、被害者が円滑に追加検査を受けられるようにサポートします。

また、異議申立てでは、医師の意見書が重要視されます。そのため、当事務所では、できる限り、主治医などに対して、被害者の方の症状、治療経過、検査結果に関する詳細な医学的評価が示された意見書の作成を依頼しております。

4.異議申立書の作成

必要な追加資料をそろえたうえで、弁護士が異議理由を総合的に整理した異議申立書を作成します。

目標とする後遺障害等級に応じた医学的見解についても記載することに加え、事故状況の程度や、後遺障害が被害者の日常生活や就労に与えた影響など、医療記録だけではわからない事情についても補足します。

5.異議申立ての結果

異議申立てをしてから2~3か月で、結果通知が届きます。当初の申請より詳細な理由書が送付されます。

認定が覆れば、追加の自賠責保険金が支給され、示談交渉に進みます。

ただ、実際のところ、認定が覆らないケースも相当数あります。しかし、それでも合理的とは言えない理由が示されることも少なくありませんので、ここで後遺障害等級のアップをあきらめる必要はありません。

自賠責紛争処理機構への調停申立て

異議申立てでも結論が変わらない場合には、自賠責紛争処理機構への調停申立てを検討します。調停といっても、当事者が出席する手続きではなく、同機構の審査委員会が協議をして判断を示す手続きです。

自賠責紛争処理機構では、医師、弁護士、保険会社OBなどの専門家が関与し、書面や資料に基づいて第三者的な立場から審査が行われます。

自賠責への異議申立てと比べ、より専門的・中立的な見解に基づく判断が示される点が特徴で、医学的評価と法的評価の双方を踏まえた詳細な調停結果が示されます。

自賠責紛争処理機構の調停でも、追加資料や補足意見の提出が可能です。異議申立ての認定理由に対する説得的な補足説明をすることで、異議申立ての結果は、医学的評価が不合理だとして認定を覆すことがあります。

訴訟で争う

調停によっても納得のいく判断が得られない場合には、最終的には訴訟によって後遺障害の有無・等級を争うことになります。

訴訟では、自賠責の認定内容を前提として後遺障害の判断が行われますが、医学文献や医師の意見書などの証拠を提出し、自賠責の認定理由が不合理であると認められれば、その等級が覆ることもあります。

当事務所でも、異議申立てでは変更されなかった後遺障害等級が、訴訟で認定された事例が複数あります。

後遺障害等級の異議を検討されている方は当事務所にご相談を

後遺障害の等級認定は、被害者の将来の生活保障に直結する重要な問題です。

しかし、自賠責の第一次的な判断では、被害者の詳細な事情が十分に伝わっていないことも多く、実情に反して等級が否定されたり、実際よりも低い等級に認定されたりすることも少なくありません。

もっとも、後遺障害の争い方次第で認定が覆る可能性は十分にありますので、あきらめる必要はありません。

当事務所では、後遺障害等級を覆すために、あらゆる法的手段を用いてサポートいたします。また、適切な後遺障害等級を獲得するため、事故直後からどのような対応を取るべきかについてもアドバイスしております。

後遺障害等級にご不満がある方や、将来の等級認定に向けてしっかり準備をしたい方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

この記事を書いた人

弁護士:石原明洋

神戸大学法科大学院卒。
医療法務の経験を活かし、後遺障害等級のアップを多数実現。
事故直後から解決まで一貫してサポートし、被害者に寄り添いながら、適正な補償を最大限受けられるよう尽力している。

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