新着情報・コラム

2026.03.14

交通事故の過失割合を有利に進めるには?証拠収集と保険の重要性

交通事故では、「相手方保険会社が提示する過失割合に納得できない」「そもそも自分には過失がないので何とかしてほしい」といったご相談が多く寄せられます。
過失割合は損害賠償額を減額する要素であるため、被害者にとって重大な問題です。

そこで今回は、過失割合の基本的な考え方と、有利な過失割合を主張するための方法について解説します。

過失割合の基本的な考え方

過失割合とは

交通事故の当事者に何らかの過失(落ち度)がある場合、その過失の程度に応じて損害賠償額が減額されます。これを過失相殺といいます。
そして、どの程度減額されるかを示したものが過失割合です。

実務では、「3対7」などの比率や、「20%」などのパーセンテージで示されることが多いです。

過失割合の決め方

では、この過失割合はどのように決まるのでしょうか。
実務では、「別冊判例タイムズ38」という法律雑誌に掲載された基準が用いられています。これには、交差点での出会い頭事故や進路変更事故など、事故態様ごとに基本的な過失割合が設定されています。そして、「徐行なし +10%」や「合図なし +10%」などの過失割合の修正要素と修正割合も記載されています。実際の事故状況に応じて、基本過失割合を修正していき、妥当な過失割合を導きます。

ただし、別冊判例タイムズのどの類型にも当てはまらない事故態様や、形式的にこの基準に当てはめると不合理なケースもあります。このような場合は、過去の裁判例が認定した過失割合などを踏まえて、妥当な過失割合を検討します。

過失割合の交渉の進め方

有利な過失割合を獲得するためには、以下の流れで手続きを進めていくとよいでしょう。

  1. 事故状況に関する証拠を収集する
  2. 証拠を分析して、主張を構成する
  3. 相手方保険会社又は相手方本人と交渉する
  4. 訴訟や交通事故紛争処理センターで争う

過失割合の主張に必要な証拠

過失割合に不満を持たれるケースの多くは、相手方が事実と異なる事故態様を前提に過失割合を主張している場合です。
そのため、真実の事故状況を明らかにするために、以下のような証拠を収集することになります。

1.ドライブレコーダー

事故状況を最も正確に把握できる証拠といえるのがドライブレコーダーの映像です。
近年ではドライブレコーダーが普及しており、多くの車両に搭載されています。まずはドライブレコーダーの有無と、その映像の内容を確認することが重要です。

もっとも、ドライブレコーダーの死角から衝突した場合や、何らかの理由で映像が保存されていない場合には、他の方法で事故状況を検討する必要があります。

2.防犯カメラ

事故現場付近に防犯カメラが設置されていれば、その映像が事故状況の解明に役立つことがあります。市街地では、防犯カメラが設置されている可能性があるため、事故現場周辺を確認することが重要です。

ただし、管理者がすぐに映像を提供してくれることは多くありません。そのため、弁護士会照会という方法で、映像提供を求めたりする必要があります。

また、防犯カメラの映像データは、早い場合には1週間から1か月程度で上書きされてしまいます。そのため、映像を残したい場合には、管理者に対し、事故前後1時間程度の映像を保存しておくよう依頼しておくことが重要です。

3.刑事記録

実況見分調書

実況見分調書とは、警察官が事故現場の状況や当事者から聴取した内容をもとに作成する書面です。事故現場の図面とともに、当事者車両の動きなどが記載されています

警察に人身事故として届け出た場合に作成されるため、被害者がけがをしている場合には、人身事故として届出をしておくことが重要です。

もっとも、実務では一方当事者のみの立会いで実況見分が行われることも少なくなく、その結果、実況見分調書の内容が実際の事故状況を十分に反映していない場合もあります。このような場合には、実況見分調書の内容の信用性を争ったり、実際の事故状況を主張する必要があります。

なお、加害者が起訴された場合には、実況見分調書だけでなく、供述調書や刑事裁判における尋問調書なども開示され、事故状況をより詳細に把握することができます。

物件事故報告書

物損事故の場合には、「物件事故報告書」が作成されます。これは警察官が作成する簡易な略図です。

実況見分調書のように道路幅の測定や当事者の認識までは記載されませんが、当事者車両のおおまかな動きが記載されており、事故直後の当事者の認識を把握するうえで有用な資料となります。

刑事記録の取得

これらの刑事記録は、示談交渉前に、弁護士法23条に基づく弁護士会照会という手続によって取得するのが一般的です。この手続きは弁護士以外ができないため、弁護士に依頼する必要があります。

4.事故車両の写真

事故車両の損傷状況から、客観的な事故状況を分析することもできます。
例えば、塗装のはがれ方や凹みの形状を分析することで、どの方向から車両が接触したのかを推測できる場合があります。

また、相手方の事故態様に関する主張が、車両の損傷状況と矛盾している場合には、その主張を否定する材料になります。損傷箇所を撮影した写真について、鑑定機関に意見書作成を依頼することもでき、より専門的な主張を行うことも可能です。

5.目撃者の証言

当事者と利害関係のない目撃者がいる場合、その証言が重要な証拠になることがあります。
後続車の運転者や事故現場付近の歩行者などが事故を目撃していることもあります。

記憶が新しいうちに、録音などで証言を記録しておくと、訴訟になった場合にも有力な証拠として活用できます。

過失割合の争い方

相手方保険会社と交渉

まずは、相手方保険会社との交渉によって解決を図るのが一般的です。

事故態様に関する証拠をある程度そろえることができれば、保険会社が当初の主張を見直し、こちら側の主張を受け入れることも少なくありません。そのため、交渉での解決を目指す場合には、できる限り客観的な証拠を収集しておくことが重要です。

訴訟を提起する

交渉で解決しない場合には、訴訟や交通事故紛争処理センターの手続によって解決を目指すことになります。

訴訟では、裁判官が、当事者の主張や証拠を踏まえて過失割合を判断します。そのため、ここでも有利な証拠をどれだけそろえられるかが重要になります。

ただし、客観的証拠が乏しい場合であっても、当事者尋問によって相手方の供述に不自然な点や矛盾が明らかになれば、有利な過失割合が認められる可能性もあります。

交通事故紛争処理センターにあっせん申立て

訴訟では、解決までに1年程度かかることが少なくありません。そこで、早期解決を目指すのであれば、交通事故紛争処理センターのあっせん手続を利用するとよいでしょう。
この手続きでは、当事者双方の主張や証拠を踏まえ、あっせん委員が比較的早い段階で解決案を提示してくれます。

もっとも、双方の過失割合の主張に大きな隔たりがある場合には、あっせんで解決に至らないこともあります。その場合には、紛争処理センターの審査会による裁定手続に進むか、訴訟へ移行することになります。

保険をうまく活用して過失相殺に備える

賠償請求において、過失割合は重要な争点ですが、自身が加入している保険を活用することで、過失割合の影響を小さくできる場合があります。

人身傷害保険

人身傷害保険は、過失割合の影響を受けず、保険会社の約款に基づいて保険金が支払われます。つまり、自分に100%の過失がある場合であっても保険金が支払われるため、交通事故に備えるうえで心強い保険といえます。

事故直後から人身傷害保険を使用した場合には、治療費も保険で支払ってくれますので、窓口負担なく通院できます。

また、相手方に損害賠償を請求する際、すでに受領した保険金は、通常、過失相殺後の賠償額から控除されます。もっとも、人身傷害保険の場合、支払われた人身傷害保険金がそのまま控除されるわけではなく、過失相殺額を上回る金額のみが賠償額から控除されます。そのため、人身傷害保険を使うと、過失割合があるのに、過失がない場合に近い補償を受けられる可能性があります(ただし、そのためには訴訟等が必要になることもあります)。

労災保険

労災保険は、治療費や休業補償、障害補償などは、過失割合を考慮せずに支給されます

労災保険も受給した額は、相手方に対する賠償額から控除されますが、控除される範囲が特定の損害項目に限定されます(たとえば、休業補償給付であれば、控除対象は休業損害関連に限定され、慰謝料などの他の損害項目からは控除されません)。そのため、労災保険を使うことで、過失相殺による損害賠償額の減額を抑えることができます。

健康保険

交通事故でも健康保険は使えます(※労災との併用は不可)が、過失割合がある場合に相殺額を抑える役割を果たします

その理由は、健康保険では自由診療より単価が安く設定されているうえ、被害者の窓口負担はその自己負担割合(3割など)にとどまるためです。例えば,

例えば、同じ治療内容でも、自由診療では窓口負担20万円(1点20円×10,000点)、健康保険では3万円(1点10円×10,000点×0.3)となり、過失割合50%の場合、前者では10万円が過失相殺により補償されませんが、後者では15,000円で済みます。

過失割合が問題になった場合は弁護士へ相談を

過失割合の問題は、賠償額が大きくなるほど被害者への影響も大きくなることから、できる限り有利な割合で解決したいところです。そのためには、証拠収集、法的評価、保険適用など、さまざまな専門的判断が必要となりますので、早い段階で交通事故に詳しい弁護士に相談することが重要です。

当事務所では、過失割合が争点となる事案について、交渉や訴訟を通じて豊富な経験を有しております。
少しでも有利な結果となるよう丁寧に対応しておりますので、過失割合でお困りの際は、ぜひ当事務所へご相談ください。

この記事を書いた人

弁護士:石原明洋

神戸大学法科大学院卒。
医療法務の経験を活かし、後遺障害等級のアップを多数実現。
事故直後から解決まで一貫してサポートし、被害者に寄り添いながら、適正な補償を最大限受けられるよう尽力している。

contact

お問い合わせ

  • 初回相談無料
  • 秘密厳守
  • 全国対応
  • オンライン可

お困りの際は
お気軽にご相談ください。
交通事故に詳しい弁護士が
親身になって
お話をお聞きします。

06-6316-7111

平日9:30~12:00 / 13:00~17:30