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2026.01.13

交通事故の治療費を保険会社に打ち切られたら?延長交渉と対処法を弁護士が解説

相手方保険会社の担当者から、「今月末で治療費を打ち切ります」などと、一方的に治療費の支払い終了を告げられ、ご相談に来られる方は少なくありません。

まだ治療中であるにもかかわらず打ち切りを宣告されれば、不満を感じるのは当然です。特に、交通事故によるけがで就労が困難となり、減収を余儀なくされている方にとって、治療費を打ち切られることは、治療費の自己負担が生じ、必要な治療を受けられなくなるおそれもあります。

では、保険会社から治療費の打ち切りを告げられた場合、どのように対応すべきでしょうか。

交通事故の「治療費一括対応」とは

まず、保険会社が、被害者の受診した医療機関に直接治療費を支払う仕組みは、一般に、治療費の「一括払い」「一括対応」と呼ばれます。

本来、治療費は医療機関を受診した被害者本人が支払うべきものですが、保険会社が被害者の便宜を図るため、いずれ支払うことになる賠償額の範囲内で、被害者に代わって支払うサービスです。

そのため、保険会社が、医療機関に直接医療費を支払う義務はなく、被害者も保険会社に直接医療機関に治療費を支払うよう請求することはできません(大阪高裁平成元年5月12日判決参照)。

したがって、保険会社は、想定している治療費の支払額を超えそうになると、一括対応を打ち切ろうとするのです。

保険会社はいつ治療費を打ち切るのか

では、具体的にいつ頃、打ち切りを打診されるのでしょうか。目安となるのは、保険会社が想定する治療費の範囲を超えそうな場合です。

例えば、むち打ち症の場合、車両の損傷が軽微なケースでは、1~3か月程度で打ち切りを打診されることがあります。

また、自由診療で頻繁に通院し、医療費が高額になっている場合には、3~4か月程度で打ち切りを打診されることがあります。

むち打ち症に限らず、保険会社が主治医に対して治療終了の見込みを照会した後に、打ち切りが行われるケースもみられます。

ただし、治療費の打ち切りのタイミングはケースバイケースで、事案によって様々です。

保険会社から治療費を打ち切られた場合の対応方法

保険会社から治療費の打ち切りを宣告されたとしても、必ず従わなければならないわけではありません。打ち切り延長の交渉をすることで、一括対応を継続してくれることがあります。具体的には、次のような対応方法があります。

治療終了時期を伝える

保険会社は、治療が際限なく続いた場合に過払いとなることを懸念しています。そのため、治療の終了時期や症状固定の見込み時期を伝えることで、その時期まで延長に応じることがあります。

意見書を提出する

延長に応じない場合や、治療終了時期が未定の場合には、今後の治療の必要性を医学的に説得的に示すことが重要です。

具体的には、主治医から、治療の必要性、事故との因果関係、治療終了時期や症状固定時期について意見を聴取し、報告書や回答書の形で取りまとめます。そのうえで、医学的にも治療継続の必要性があることを示した意見書を作成し、保険会社に対して一括対応の延長を求めることになります。

もっとも、このような対応には法的知見が不可欠であるため、弁護士に依頼して対応することをお勧めします。

治療費を打ち切られた後に検討すべき対応

延長交渉を行っても、やむを得ず打ち切られることもあります。ただし、一括対応が終了した場合でも、その後の治療費が当然に賠償の対象外になるわけではありません。

次の方法により、治療の継続を検討することができます。

健康保険に切り替える

自由診療で通院している場合、健康保険に切り替えることで医療費の自己負担を軽減し、被害者自身が治療費を支払いながら治療を継続する方法があります。

自由診療では診療報酬点数が1点20円程度で設定されることが多いのに対し、健康保険では1点10円となり、窓口負担も自己負担割合(1~3割)で済みます。

もっとも、治療途中での自由診療から健康保険への切り替えに消極的な医療機関も少なくありません。その場合には、弁護士を通じて医療機関と協議したり、転院を検討することになります。

人身傷害保険の利用を検討する

被害者が加入している自動車保険に人身傷害保険が付帯されている場合、これを利用することで治療費の一括対応を受けられることがあります。支払元が相手方保険会社から自身の保険会社に変わるだけで、被害者の負担は生じません。

ただし、人身傷害保険でも必ず一括対応が行われるとは限らず、治療の必要性などを主張しなければならない場合もあります。

治療費を打ち切られないために事故直後からできる対策

治療費の打ち切りを宣告された後では、対応に限界があるのが実情です。そのため、事故直後から、通院先や適用する保険を含め、打ち切りを受けにくい治療方法を検討しておくことが重要です。

例えば、症状が長期化する可能性がある場合、当初から健康保険を使用し、自己負担分を保険会社に一括支払いしてもらう「健保一括」という方法があります。健康保険は自由診療に比べて治療費を抑えられるので、保険会社が想定する支払額を超えにくくなり、打ち切りのリスクを軽減できます。

ただし、健康保険法74条1項や国民健康保険法42条1項を厳格に解釈する医療機関では、健保一括に応じないこともあります。その場合には、健保一括に対応している医療機関への通院を検討することになります。

なお、交通事故の治療で健康保険を使用する場合、保険者から「第三者行為届」の提出を求められ、加害者情報等を記入する必要があります。ただ、多くの場合、相手方保険会社の担当者が作成に協力してくれるため、相手方保険会社に作成を依頼するとよいでしょう。

事故当初から弁護士に相談する重要性

このように、治療費の一括対応の打ち切りを回避するためには、専門的な知識が不可欠です。治療費の不安を抱えたままでは、精神的負担が増すばかりです。

そうならないためにも、事故直後から弁護士に相談し、使用すべき保険や通院方法、通院頻度について事前に助言を受けることが重要です。

当事務所では、数多くの治療費打ち切り延長交渉に携わってきました。むち打ち症に限らず、治療費の継続に不安をお持ちの被害者の方は、ぜひ早期にご相談ください。

この記事を書いた人

弁護士:石原明洋

神戸大学法科大学院卒。
医療法務の経験を活かし、後遺障害等級のアップを多数実現。
事故直後から解決まで一貫してサポートし、被害者に寄り添いながら、適正な補償を最大限受けられるよう尽力している。

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