【事例紹介】死亡事故で過失9割主張を覆し逆転和解した事例
事案
Kさんは単車で幹線道路を走行中、前方の事故渋滞で一時停止した際、バランスを崩して路上に転倒しました。しかし、後続車の運転手が脇見をしていたため停止しきれず、Kさんを轢過し、Kさんは即死されました。当事務所は、ご遺族2名から損害賠償請求のご依頼を受けました。
当事務所の対応
まず、相続人を確定したうえで、自賠責保険に対して死亡保険金の請求を行い、保険金を受領しました。しかし、これだけでは損害全額を補填できなかったため、さらに加害者側の任意保険会社に対して損害賠償を請求しました。
ところが、相手方保険会社は、「Kさんが転倒したことにも過失がある」として、Kさんの損害を過失相殺すると主張してきました。当方は、本件は追突事故事案であり、Kさんに過失はないと主張しました。しかし、折り合いがつかず、やむなく民事訴訟を提起しました。
訴訟において相手方は、当時は真冬で路面が凍結しており、加害者は回避できず、Kさんの転倒がなければ事故は起きなかったとして、Kさんに9割もの過失を認めるべきと主張し、相続人一人あたり250万円であれば和解をすると提案してきました。当方は、相手方の著しく低額な和解案を拒否し、当方に過失がない旨主張立証を継続しました。
その後、双方の当事者の尋問手続きに移りましたが、加害者は刑事事件で有罪判決を受けていたため、事前に、当事務所は刑事記録を取り寄せ、供述内容を確認しました。すると、相手方の供述調書に記載されている事故状況と、相手方が本訴訟で主張する事故状況の説明に食い違いがあることが判明しました。
そこで尋問では、相手方に事故状況を詳細に語らせたうえで、刑事記録の供述調書を弾劾証拠として提示し、どちらが正しい記憶なのかを問いただしました。すると、相手方は言葉に窮してしまい、回答することができず、相手方の主張の信用性を減殺することができました。
その結果、裁判官から、Kさんに過失はほとんど認められないことを前提に、相手方が相続人1名につき1140万7900円を支払うという内容の和解案が提示されました。相手方もこの提案を受け入れ、無事に解決に至りました。
本件のポイント
- 転倒した単車の運転手を後続車両が轢過した事例で、過失割合が主要な争点になった事例です。
- 刑事事件記録を精査し、供述の矛盾を弾劾証拠として活用したことが、相手方主張の信用性を低下させる決定打となりました。
- 相手方からの不当な低額和解提案(相続人一人あたり250万円)に応じず、粘り強く主張立証を行うことで、最終的に一人あたり約1,140万円超増額された和解を獲得することができました。