【事例紹介】左中指開放骨折後の神経症状が、自賠責紛争処理機構で14級9号と認定された事例
事案
K様が単車で幹線道路の第3車線を直進していたところ、第2車線で信号待ちにより停車中の四輪車の運転席ドアが突然開き、K様の左手指がドアに引っ掛かりました。その結果、K様は左中指末節骨開放骨折および左示指挫創の傷害を負いました。
K様は治療を続けましたが、左中指にはしびれや違和感が残り、指先の皮膚感覚が過敏になったことで、指を動かすと震えが生じ、細かい手先の作業が難しくなりました。そのため、スマートフォンの操作など、日常生活にも支障が生じていました。
当事務所の対応
⑴当事務所はK様の依頼を受け後遺障害等級認定の申請を行いましたが、「左中指末節骨は癒合しているため、神経症状が残存するとは考え難い」として、自賠責では後遺障害非該当と判断されました。
その後、医師の意見書など追加資料を整えて異議申立てを行いましたが、判断は覆りませんでした。
しかし、K様の骨折は開放骨折であり、実際に神経症状が継続していることから、この非該当判断は明らかに不合理であると考えました。
そこで、当事務所では自賠責紛争処理機構へ調停申立てを行いました。
自賠責紛争処理機構は、弁護士・医師・学識経験者らで構成され、公正かつ専門的な観点から自賠責に関する紛争を審査する機関です。後遺障害認定について、医学的な見地からより詳細な判断が期待できます。
受付から結果が出るまで約6か月を要しましたが、開放骨折で創部が末節骨に達していたことから、末梢神経が損傷し、しびれが残存している可能性は否定できないと認められ、後遺障害等級14級9号が認定されました。
⑵この後遺障害を前提に、相手方保険会社と示談交渉を行いましたが、相手方保険会社は、K様が自動車の間をすり抜ける危険な運転をしていたことが事故原因であるとして、K様の過失割合を40%と主張し、当初は約98万円の示談額しか提示してきませんでした。
しかし、停車中の四輪車のドア開放により単車と接触した事故の基本過失割合は、単車側10%とされています(別冊判例タイムズ38【233】図)。
そこで当事務所は、交通事故紛争処理センターに申立てを行い、基本過失割合に基づく適正な判断を求めました。
その結果、K様の過失割合は10%にとどまると認定され、最終的に、相手方の当初の提示額の約2倍となる約210万円で和解することができました。
本件のポイント
- 自賠責の異議申立てで等級が認められなかった場合でも、自賠責紛争処理機構における調停では、医学的観点から再度詳細な審査が行われるため、後遺障害等級が認定・上昇する可能性があります。
- たとえ等級が覆らなかった場合でも、専門家による十分な審理が尽くされるため、現在の等級結果に納得いただけるケースも多いです。