【事例紹介】両手関節に可動域制限がある場合の後遺障害等級を訴訟で争い、併合9級を獲得した事例
事案
サラリーマンのY様は、幹線道路をバイクで直進中、信号機のない交差点において、左方から突然進入してきた自動車と衝突し、右橈骨遠位端骨折、左橈骨茎状突起骨折、左肋骨骨折、左外傷性気胸などの重傷を負いました。
当事務所の対応
症状固定時には、Y様の右手関節は掌屈・背屈の合計値が75度、左手関節は掌屈・背屈の合計値が90度と、いずれも可動域制限が残存していました。これらを、手関節の参考可動域角度(掌屈90度・背屈70度、合計160度)と比較すると、右手関節は参考可動域の2分の1以下に制限されているため10球10号、左手関節は参考可動域の4分の3以下に制限されているため12級6号に該当することが予想されました。
ところが、自賠責保険の判断では、右手に比べ可動域制限が小さい左手を「健側」として扱い、「右手関節は健側の4分の3以下ではない」として、いずれの関節についても可動域制限を認めないという不合理な結果となりました。
しかし、この判断では、片手にのみ可動域制限がある場合は後遺障害が認められやすく、他方で両手に可動域制限が残った場合には逆に後遺障害が認定されにくくなるという、明らかに不合理な結論となります。
そこで、当事務所は、両手関節に可動域制限が残存した場合には、単純な健側比較をするのではなく、参考可動域と比較すべきであると主張して異議申立てを行いましたが、これが認められなかったため、訴訟を提起しました。
訴訟活動の末、裁判所は、被害者が「両手関節に可動域制限が残存しているため、参考可動域角度である掌屈90度及び背屈70度の合計値である160度と比較する必要がある」として、当方の主張を採用し、右手関節は10球10号、左手関節は12級6号(併合9級)と認定しました。
その結果、Y様は、約3292万円の認容判決を受けることができました。なお、この事例は、交通事故裁判例雑誌「自動車保険ジャーナル」(No.2182、p24~p41)にも掲載されております。
本件のポイント
このケースのように、自賠責の後遺障害等級認定には、評価方法に誤りが含まれる場合があります。こういった場合は、訴訟を通じて是正できる可能性がありますので、交通事故に詳しい弁護士に相談してください。